ガラスの性質についての説明で本当なのは 2.ガラスは液体のような性質を持った固体である。

 わたしたちの身のまわりにはたくさんのガラスがあります。しかしガラスにはまだまだナゾが多く、たくさんの可能性がひめられています。30年ぐらい前には、ガラスは本当は液体であるという説と、固体であるという説に分かれていました。
 水の場合は、冷やすと氷になり、温めると水じょう気になります。また氷は固体、水は液体、水じょう気は気体とよばれます。そして氷のような固体には、その物質によって決まっている規則的なつぶ(原子)の並び方(これを結しょう構造といいます。)があるのがふつうです。
 ところがガラスには結しょう構造がありません。ガラスをミクロの目で見てみると、結しょう構造は見えず、あみの目が立体的に不規則に連なっているだけなのがわかります。これがガラスの不思議さのひみつです。氷と同じようにかたい物質であるにもかかわらず、ガラスは固体と液体のさかい目にあるような物質なのです。






 ガラスは1300℃〜1600℃という高温でドロドロにとけ、500℃〜700℃以下に温度が下がるとねばっこさを増し、粒子が規則正しく並ばないままかたまってしまいます。ガラスのようにつぶの並び方が液体のような、結しょう構造をもたないかたい物質をアモルファス(非しょう質)とよび、最先端(さいせんたん)の科学でさまざまな研究が進められています。

じっさいにないガラスは 3.強い力を加えると電流が流れるガラス。

1.「光をあてると色がつくガラス」 → サングラスなどに利用 されています。 2.「交流の電磁石(じしゃく)を近づけると熱くなるガラス。」 →がんのちりょう用に研究中
ほかにも、光をあてると別の色の光を出すガラス(レーザー)や、イオンがガラスの中を動くことで電流が流れるガラス(電池の材料として期待されている)など、さまざまなガラスが開発されています。

3000℃ぐらいになるとガラスは  2.とけたまま。

 ガラスは石油からつくられるプラスチックとはちがって絶対に燃えることがありません。今のところ地球上では、ガラスを高温にする限界が3000℃ぐらいなので、それ以上のことはくわしくわかっていません。しかしガラスはれんがや石と同じように、燃えることはないとされています。

ガラスが透明なのは 2.ガラスの構造には光をさえぎるようなつぶのさかい目がないから。

 ガラスは珪砂(けいしゃ)という砂を主原料につくられますが、もともと珪砂は透明度の高い水晶と同じ成分でできています。高温で珪砂がとけて、いったん液体となり冷えてかたまると、結しょう構造がくずれて結しょうと結しょうのさかい目がなくなります。するとさえぎるものが何もなくなるので、光はまっすぐに通りぬけることができ、ガラスは透明に見えるというわけです。

強化ガラスの説明でまちがっているのは 1.強化ガラスは大人が小石を投げたくらいではほとんど割れない。

 強化ガラスはふつうの板ガラスの約3倍の圧力にたえることができます。野球のボールやバレーボールなどを強くぶつけてもほとんど割れません。むしろ先のとがった小石などを強くぶつけると、きずがついて割れてしまうことがあります。ただし強化ガラスが割れたとしても、破片(はへん)は細かいつぶ状になるので、ふつうの板ガラスの破片のように危険(きけん)ではありません。
 もちろん強化ガラスは、小石などのきずに対しても、ふつうの板ガラスに比べて強くつくられています。しかし、なぜガラスはきずがつくと割れやすくなるのでしょうか?それは、Q4.で説明したガラスが透明なわけと関係があります。
 ガラスのかたまりがひとつづきでさかい目がないということは、透明であるということのほかに、割れるということの原因にもなっています。ガラスにはさえぎるものがないために、小さなきずも大きく広がってしまうのです。
 この割れ目の原因となるのが「グリフィスのきず」です。あるとき、グリフィスという人がガラスが割れるしくみについて考えました。「つるつるに見えるガラスの表面には、じつはものすごく小さなたくさんのきずがついていて、そのきずに力が加わると、いっきに割れ目が走りガラスが割れるのだ。そう考えないとガラスが割れるワケを説明できない。」まだ電子けんび鏡もない80年以上も昔に、グリフィスはミクロの世界を正確に言いあてていました。

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