※インタビューの全文を紹介しております。
 
ガラス建築
_ガラス建築のトレンド

中井:それでは、次のトピックスに移りますけれども、今回はヨーロッパの視察として最新としてヨーロッパの最新ガラス建築を幾つか見たのですけれども、まさに建築・環境の御専門として、最近のヨーロッパのガラス建築と環境、リサイクルの関連について何か感じられたことはおありでしたか。

清家:そうですね。最近、建築物ではガラスが多く使われているのですが、この建築もガラス張りとよく他の先生にも言われているのですが、これはやはり世界的な流れとして当然のことかと思われるのです。もともとは、外の環境と中の環境を遮断することが建築に求められていたのですが、遮断することによってやはり人間が快適性を得るかわりに何が他の抑圧をうけていた。その抑圧をうけないようにコントロールをするということは、透明にして関係をもつ必要な時だけ遮断すればいいわけですね、ということが理想だと思うのですね。そのために、唯一、建築で使える透明な材料はガラスですから、ガラスを多用するということは人にとって建築の内部環境にとって正しく求められていると思いますね。

中井:建築の中でガラスが多用されていくのも、そういう精神面がトレンドになっていますかね。

清家:はい。今までそれが出来なかったのは、技術的なものですとか、ガラスがシングルガラスだと断熱が悪いだとかいう問題があったのですが、今は高性能なガラスができたということで、それであれは本来やりたかったことをやってみよう、ということでトレンドとして非常にガラスを多様した、開放的な建築ができてきたと思っております。それは、日本もヨーロッパも変わりのない傾向か、と思っています。

中井:ガラスの快適性や精神性な意味を含めた開放性というか、そういう点でガラス建築ができていくかと思いますが、それとリサイクルや環境・省エネという観点では、どのような今後の方向性や進歩があるのでしょうか。

清家:そうですね。省エネルギーという面では、ガラスを多様することで、外部空間とのつながりができるということは、やはり遮断した空間での空調を考えるのではなく、自然の光の自然のエネルギーを利用した発電ですとか、こういったものとの組合せが重要なんだと思いますね。内部空間を閉じずに開放するということは、いろんな外部と関わりをもつわけですから、人間が関わりを持つということではなく、建築自体が関わりを持ち始める、これを生き物になるとおっしゃる方もいますけれども、そのためにもガラスも開放的になって、その中から外との関係を技術的にも築きあげている、という段階かなと思っています。

中井:ありがとうございました。

 
 
 
 
文責:横浜国立大学 講師 志村真紀
 
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