※インタビューの全文を紹介しております。
 
リサイクルガラスの多用途利用
 

中井:今までのガラスのリサイクル、特にカレットを使ったガラスの原料をガラスに戻す技術的な面やそれをつかった仕組みの面のお話頂いたのですが、少し話を展開してリサイクルをさらに進めたり、ガラスの用途を広める、あるいはリサイクル原料で新たな用途を広げるといった観点での技術開発というのはあるのでしょうか。

清家:そうですね。やはり板ガラスじゃないガラスというのをどうやって生み出すかということだと思うのですね。不純物がないことといったことが板ガラスの特徴ですが、不純物があってもいいのであれば、俄然リサイクルは楽になるし、それが楽しいものになるというのが一番理想だと思うのですね。そういった意味でちょうど今日、そういったリサイクルガラスの研究をなさっている志村さんをお迎えしているので、私の方から志村さんがこちらに居らしていますから、志村さんに私の方から聞きたいんですけれども、志村さんが研究なさっているリサイクルガラスについてご紹介して頂いて、リサイクルガラスにどんな未来があるのか教えて頂きたいのですが、まず、志村さんの方からリサイクルガラスについて紹介して頂けますか。

志村:先生がおっしゃるように、ガラスと他素材として粘土やコンクリートやアルミなど様々な素材と混合して使えるというのは非常に用途が広がると思います。ただ、それは過去10年において進められてきたことではあるのですが、それ以上に今は更なる用途の開発が必要とされていまして、私の方では、廃ガラスカレット100%を使って再生ガラスをつくる研究を進めてきました。そして、それを使った場合に、どのようなものができるかということですが、従来の板ガラスのように均質で透明なものではなく、不透明性で非常に表情が多様で温かみのある柔らかさがあるガラスができたのです。そういうものですと、今までのガラスのイメージを一新させ、新たな魅力として建築だけではなく照明などの生活の中にあるプロダクトとして用途なり使える場が増えると思います。この話をガラス工芸をやっている作家さんなどに話したら興味をもって頂きまして、以前からガラス作家の中には、廃棄された板ガラスを原料として使っている流れもあるので、現在のようにリサイクルの需要があり、用途を求められているのであれば、そういった再生ガラスの可能性というのは、今後より広く作家という個人の方にも広がる可能性があると思うのです。

清家:その志村さんが取り組んでいることを私に紹介してくれたことがあるのですが、そうしたリサイクルしたガラスというのは、リサイクル側からみて何がいいのかというと、ひとつは多少の不純物を許してくれるものもある。それが、そんな透明にしなくても、もうちょっと低い温度で溶融してそれが濁ったものでも不透明性があっても逆に味がある。とすると、それは裏を返せばネルギーを使わなくてすみ、低いエネルギーで再生できる非常に幾つか良い点があるのです。つまり、一度廃棄されたものをまた、もう一度新品にするというのではなく、新たな魅力ということで、その時には楽にあるいはエネルギーが少なくてもできるというのは新たな魅力でいいなと思いますね。それで、中井さんのような立場からはそれがいくらで売れるの?という風に言われるかと思いますが、今、志村さんから聞くと作家さんが使っていると、それはやっぱり我々が思っているガラスとは違う味わいが出るということですよね。

志村:はい、そうなんです。その表情が多様にできるというのは、低温で溶融することによる特徴であり、新たな魅力ではないでしょうか。

清家:その様々な表情が出るということで、どちらかというと冷たく透明な表情のガラスというのではなく、柔らかく、人の手で触れたくなるガラスというものになると、もっとこの室内でも板ガラスの部分だけじゃなくて、木が担っているような仕上げのような部分にも、ガラスが使えるようになる。そうすると、また飛躍的にガラスが使える分野が増えるといった、新たな可能性として市場としても占めると思うのですね。でも、それは新品のガラスからつくるともったいないと思います。リサイクルもきちんとしながら余剰に出てくる部分を新たな市場を生み出しながら、また人に優しい違ったガラスの魅力を引き出せるというのは、みなさんがやる気になる話だと思いますね。

中井:商業性、仕組み、経済性の3つの観点で貢献できる気がしますね。

清家:そうですね。なんか、そういうずっと前にむいて見てきたところを、横を向いて頂くと、それは90度ぐらい振り向かないと気づかないかもしれませんが、それを向くことで一番前を向いていたことも上手くいく、そういう解決方法があるような気がしていまして、そういう取り組みをみなさんと一緒に、中井さんや志村さんなどといっしょに考えていきたいと思っています。

中井:今日はリサイクルの技術の面や仕組みの話をして頂いて、さらに最後には志村さんに加わって頂いたことで、さらに世界が広がったように思います。非常に有意義なインタビューになりました。ありがとうございます。

 
 
 
 
文責:横浜国立大学 講師 志村真紀
 
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