かわら版
 大学生・院生を対象としたガラス講演会・見学会
 Report on the seminar and technical tour to a glass plant, training mpany for university students
2008/2/20 
GIC事務局・ニューガラスフォーラム事務局
 
         
   
 
経済産業省 喜多見課長挨拶
 
旭硝子京浜工場 担当者説明
 
 
1.はじめに

 経済産業省は、人材育成政策の一環として、ガラス、鉄、繊維、非鉄、半導体、ファインセラミックス、化学の7分野を対象として、講演会と工場見学会などを実施した。日本では、アセンブリー産業よりも、材料・部品産業に世界的な競争力があり、この分野を更に強化するためには、学生にこの分野に進んでもらう必要がある。そのために、学生への講演会と工場見学会などを実施して、最前線で活躍している研究者・技術者・管理者の生の声を聞いて、我が国の素材産業の理解を深めてもらおうというものです。
ガラスについては、喜多見・製造産業局住宅産業窯業建材課長から、GICが実質的な事務局になって準備してくれるよう要請があり、それを受けて、講演会はニューガラスフォーラムが、見学会は板硝子協会が支援した。
 
   
2. プログラムの概要者

1)「ナノテクを活用したガラスには未来がある」
京都大学工学研究科材料化学専攻 教授 平尾 一之氏

<講演概要>大型ディスプレイパネル、光通信用ファイバー、ハイテクガラスの応用製品は花形素材として脚光を浴びている。それらを進化させるべく ナノテクを用いたガラスの研究が活発に行われている。さらにはガラスを太陽電池などのエネルギー分野やガス選択膜などの環境分野へ応用すべく いくつかの試みも力強く始められようとしている。

2)「ガラスの情報通信分野への展開」
日本板硝子株式会社 上席執行役員 近藤 敏和氏

<講演概要>わが国の産業発展にガラスは大きな貢献をしている。ここでは情報通信分野、具体的にはディスレイ用基板ガラス、磁気ディスク用基板ガラス、光ファイバー 、光通信用部品ガラスなどの状況を幅広く紹介する。

3)「ガラス事業の発展と現状」
株式会社AGC総研 代表取締役社長・旭硝子中央研究所長 加藤 勝久氏

<講演概要>ガラスの発見は、紀元前数千年前のメソポタミアで偶然発見されたと言われている。中世では装飾品やステンドガラスとして実用化されているが、工業化の歴史は18世紀後半の産業革命に始まり、日本では20世紀に入って量産化開始されている。歴史的に古いガラスも、科学的にはまだ十分解明されておらず、光通信に代表されるニューガラスといわれる新たな分野も出てきており、これからますます製品面及び技術面で発展していく分野であるといえよう。

●見学会(午後:経済産業省からチャーターバスで工場へ移動)

 旭硝子京浜工場の、長さ300メートル高さ18メートルの巨大ぶち抜き建物内の「型板ガラス、磨き板ガラス、網入り磨き板ガラス」製造ライン見学後、工場近くの「モノづくり研修センター」を見学。
 
 
   
3. 参加状況

 定員50名に対して、当日欠席者があり参加は46名。内訳は、東工大11、青山学院大11、東大8、京大5、筑波大2、東京理科大2、東北大、首都大学東京、芝浦工大、農工大、早大、慶大、明治が各1名でした。参加募集は、全国の大学の掲示板等でPRしたのですが、講演会場までの旅費は自前だった事もあり、東京圏の大学からの参加が大部分でした。経済産業省のナショプロ「三次元光デバイス製造技術研究」のリーダーである平尾教授が講師だった事もあり、京大生の積極的な参加がありました。
 
 
   
4. こぼれ話

 「モノづくり研修センター」の入口正面広場には、ガラス溶融炉の磨耗した実際の耐火物レンガがオブジェとして飾ってありました。また、縮小模型ですが、かなり大きなガラス溶融炉とフロートバスの展示は迫力があり、溶融スズの上にガラスを浮かべる事で、ピカピカの水平なガラスが一気に出来る仕組みが、実感として理解できました。今の炉の定期修理は、昔の5-7年から、15-17年に延びているので、炉の冷修の経験がないまま定年を迎えるケースも出てくるとの事です。ですから、ガラス製造プロセスが、皮膚感覚として理解できるように工夫されている事に感心しました。なお、カラフルな壁としゃれた照明の立派な喫煙室が、各階にあったのには驚きました。いづれにしても、研修センターの関係者の創意と熱意が感じられる施設でした。
 
 
   
 
大日向 モノづくり技術強化室長講演
 
旭硝子(株) モノづくり研修センター