かわら版
 市原エコセメント社工場見学
2005/11/14 
ガラス産業連合会環境広報部会 
           
○参加メンバー 中井日出海・福地英俊・勝田忠男・徳矢守・石渡明・西村浩・ 竹原徹雄・宮本雅子・小川晋永・黒光織恵
 
    ○担当者 市原エコセメント(株)取締役業務部長 相澤伸彦様  
 
    ○当日のスケジュール 事務所での事前説明 → 見学 → 質疑応答  
 
     
 
   

2005年11月14日、市原エコセメント社の工場見学をいたしました。

市原エコセメント社は、千葉県エコタウンプランの中核施設として、世界初のエコセメント製造施設を建設し、平成13年4月に千葉県市原市で稼動を開始しました。千葉県の人口約1/4にあたる150万人分の焼却灰を原料として、最大で年間11万トンのエコセメントを生産することができるそうです。都市ごみや焼却灰、汚泥などからエコセメントを製造することにより、埋立処分量の2割を資源化したとのことです。生産されたエコセメントは太平洋セメント(株)を通じて販売されています。

(*2006年操業開始を目標に、三多摩地区が同様の施設を現在建設中とのことでした。)
 
 
   

千葉県では、このエコタウンプランを推進するため、エコセメント製のコンクリート二次製品を積極的に利用しているそうです。例えば、千葉県内の護岸補修、道路用製品、インターブロッキング、消波ブロック、外壁材などが、多くの箇所に使われています。もちろん、この工場の建築物などにも多くのエコセメントが利用されています。

工場施設はダイオキシン類発生防止のための、廃棄物焼却施設の構造および維持管理基準を厳守し、焼却灰中の重金属をリサイクルし、また施設操業に伴う排出ガス、排水、騒音、臭気に関する法令も遵守し、完全なリサイクルと万全な環境保全体制がとられています。これらの活動が評価され、本年は愛・地球賞を受賞されたそうです。

焼却灰の中には本来含まれないはずの重金属も多く混入していることから、工程でこれらを除去する作業が必要になるとのことで、我々ガラス業界のカレットの場合と同様に、異物混入によるご苦労も伺えました。

ガラス産業連合会では、ガラスカレット、廃棄物の3Rに積極的に取り組んできています。本来なら、可能な限り自産業、自工程でのクローズドリサイクルを目指すべきかもしれませんが、効率的な3Rという観点では、他産業を含めた協働的なカスケードリサイクルを活用せざるを得ないと考えています。そこで、今回、関連分野で先端を走っている市原エコセメント社を見学し、ガラスカレットのリサイクルの可能性についても伺いました。実際、エコセメントを作るためには、塩素を除去するための「アルカリ」成分や、セメント基本材料として「シリカ」などが使われていることから、ガラスカレットも利用できるのではないかと考えました。しかし今回の訪問での質疑応答で、ガラスは熱を加えることでドロドロと粘性の高い材料になり、その点が操業上の問題を引き起こすということがわかりました。残念ながら、現状ではガラスカレットをエコセメントの原料にするのはとは難しいとのことです。しかし、当会にとって今回の見学は、今後のガラスのリサイクルの検討のヒントとなることも多く、大変勉強になる施設見学でした。

環境広報部会では、今後とも部会活動の一環として、環境先端事例の見学を行い、ガラスの未来と環境の問題に取り組んでいきます。